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私たちが納得できる選択をするには、何が必要なんだろう? /”問い”を育む 高校生たちの物語 #35

「”問い”を育む 高校生たちの物語。」は、カタリバオンライン for Teensで出会った全国の高校生の「未来」と「探究」を応援するインタビュー企画。

日常の小さな疑問や違和感、純粋な好奇心や”好き”から、迷いながら一歩ずつ「マイストーリー」を歩む高校生を紹介します。

さらさんプロフィール

高校3年、東京都在住。中学1年生の時に楽器演奏者への憧れから管弦楽部に入部。引退する高校2年までの5年間、バイオリンに向き合い続ける。学校の探究学習でも音楽をテーマにした研究を進めており、歌・音楽が人に及ぼす力に面白みを感じている。

音楽の実践と研究に没頭した高校生活。

 

Q:高校生活の中で熱中している取組みや探究活動について教えてください

中高を通して取り組んだ活動は大きく二つあります。

一つは、中学1年から継続している管弦学部での活動です。私が所属している部活は年間スケジュールや演奏会の演目、役割決めなど、全てを生徒が主導していました。そのため、執行学年である高校2年が約80人の部員をいかにまとめ、良い方向に推進していけるかがとても重要になります。

けれど80人も部員がいると、当然一人ひとりの個性や考え方も十人十色で、全体統括はそう簡単に進められるものではありません。特に議論が長引いてしまう時は、熱意をもって推進していきたいタイプと、冷静に事実から判断をしていきたいメンバーがぶつかり合う時です。どちらの意見も正しいし、実際やってみないと何が正解か分からないという中で、一つひとつに結論を出して物事を進めていくことは難しかったですが、水掛け論にならないようポストイットを用いて議論してみるなど工夫することで、前進させていくことができました。

活動のもう一つは、総合的な探究の時間での研究活動です。

「18世紀フランス革命から紐解く“国歌とナショナリズム”の関連性」をテーマに進めていたのですが、調査を進めれば進めるほど音楽の奥深さを知ることが出来、調査学習の面白さを実感することができました。

高1で設定した初期テーマは現在と異なるもので、しっくりしていませんでした。しかし、そこから2年かけて文献を調べ、進捗発表でいただいたフィードバックをもとに問いを変えたりする中で、「音楽が市民や国家にもたらす影響」に行きつきました。元々歴史の授業が好きだったのと、レミゼラブルというミュージカル曲も好きだったため、時間をかけてテーマを深めていくことができて良かったと思っています。

 

“素朴な疑問”と“やってみる”ことが学びを深める鍵。

 

Q:探究活動/マイプロジェクトを通じて、どんな学びや変化がありましたか

管弦楽部の活動からは、人やチームの動かし方を学ぶことができました。自分が後輩の立場だった時は、先輩の姿を見ながら自分が執行部になったらやりたいこと・やりたくないことを想像していただけだったのですが、実際に執行学年になってチーム作りに携わると、うまくいかない事だらけでした。

けれど、先輩方の姿勢を見て、真似てみて、実際に壁にぶつかり工夫をしていってみることで、どのような接し方・関わり方が適しているのかを身を持って知ることが出来ました。一人ひとりの個性が違うからこそ難しい側面も多いですが、彼らの性格や背景を理解しながら進めていくことで、どんな活動も前進させていけると思います。

また探究学習からは、身近な生活の中からも問いを見つける意識を育むことができました。今でこそ「音楽が市民や国家にもたらす影響は何か?」という問いに行きついていますが、最初からこの問いが浮かんでいた訳ではありません。

多くのフィードバックを頂く中で、「なぜフランス革命は国家と市民の対立にもかかわらず長引いたのか?」「義勇軍がどんどん増えていったのは何故か?」「義勇軍は心が折れなかったのだろうか…?」と、問いが増えていき、たどり着くことが出来ました。テーマ設定は難しいことではなく、身近な生活の中から浮かんでくる素朴な疑問にこそヒントがあるのかもしれない、と思っています。

 

Q:これからどんなことにチャレンジしていきたいですか

今後は、校外の学習機会に多く参加しながら、将来に必要な知識やスキルを習得していきたいと思っています。いま特に関心があるのは、お金・金融領域です。

高校生活はとにかく部活に注ぎ込んできたため、チーム作りについては学ぶことができたものの、今後社会に出ていくにあたって必要なスキルについては、まだまだ学び足りていないと感じています。社会の動きが激しいからこそ、資本主義の成り立ちや、その中でどうすれば生き残っていくことができるのか、考え実践していきたいです。

 

自分を知っている人が一番強い。だからこそ色々な経験をしていきたい。

 

Q:今回カタリバオンライン for Teensに参加した理由を教えてください

先述した通り、生涯必要になるスキルを学びたいと思って調べていたところ、Quliiでカタリバオンライン for Teensの講座を発見しました。プレゼンテーションやファシリテーションスキルは学校では学べないものの、大学以降を見据えて必ず必要になると感じ、受講を決めました。

参加してみると、最初に各テーマのコツを教えていただいてから実践、という流れだったため、私にとっては取り組みやすく多くのことを学べました。自分の中である程度成功イメージを描きながら実践しフィードバックを頂くことで、何を修正していったら良いかを掴みやすいからです。

また面白かったのは、自分が感じていることと相手が受け取っていることが異なる、ということです。ファシリテーションの実践において、失敗したと思って反省する場面があったのですが、他の参加者からすると何も気にならなかったようで、自己認識と他者からの認識のギャップに驚きました。

 

Q:最後に全国の高校生へメッセージをお願いします!

高校生の時間は有限だからこそ、学校内でも学校外でもいいので、高校1年生から色んな事に挑戦してほしいと思います。高校生活を振り返って思うのは、自分に向き合っている人は強い、ということです。多様な経験を通して自分が感じたことや、将来やってみたいこと、好き嫌いなど、自分について知り将来を描いていけると、早いうちから未来に向けて準備をすることができます。高3になると受験勉強に必死になり、なかなか自分に向き合う時間が取れないと思うので、ぜひ高1・高2のうちに自分に向き合う時間を作って欲しいと思います。